血便とは
便に血が混じっている状態のことです。鮮血が混じっている状態の血便や、黒い「タール便」があります。血便は肛門に近い部分からの出血で、タール便は血液が腸内細菌によって分解されて黒くなるため、胃や食道など肛門から遠い部分からの出血を考えます。
血便の原因となる疾患
1.痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)
鮮血が便に付着する、 排便後に出血する、 トイレットペーパーに血液が付着するといった症状が見られます。血便の原因を痔と決めつけてしまうことは危険で、 大腸の病気を除外することがことが極めて重要です。
2.大腸ポリープ・大腸がん
初期段階では自覚症状がありません病状が進行して初めて、症状が現れます。便がポリープやがんに擦れて出血して、血便となることがあります。肉眼では確認できない微量の血液を調べられるのが、便潜血検査です。便潜血検査で陽性の結果が出た場合は、大腸カメラ検査を受けてください。大腸ポリープや大腸がんは、症状がないまま進行してしまいます。大腸がんの発症リスクが高まる40歳以上の方は、定期的に大腸カメラ検査を受けることをお勧めしております。
3.進行大腸がん・直腸がん
便に血液のほか粘液が付着する場合があります出血量だけで自己判断するのは大変危険なため、気になる血便の症状がある場合は、速やかに当クリニックまでご相談ください。
4.潰瘍性大腸炎
症状の起こる活動期と、症状が治まる寛解期が繰り返されます寛解期であっても、継続して治療を行うことで、再発を予防できます。初期症状に、便に血液が混じる・下痢などの症状が見られます。病気が進行すると、便に膿や粘液が混ざったり、赤いゼリー状の便が出ることもあります。
5.大腸憩室出血
大腸内に小さな部屋のようなくぼみが生じることがしばしばあり、これを大腸憩室といいます。この憩室に便などが侵入して憩室内の血管が破綻すると、血便になることがあります。
6.虚血性大腸炎
大腸内の圧が上昇し、粘膜の血流障害が起こることにより発症します。急激な左側腹部の痛みで 症状が現れることが多く、 その後鮮血便が出るという特徴的な経過があります。
7.感染性腸炎(出血性大腸炎)
ウイルスや細菌に感染して起こる腸炎です。特に、細菌感染すると血便の症状が起こることがあります。その他、下痢や腹痛・発熱・悪心・嘔吐などの症状が見られます。原因となる菌を特定するために、便培養検査を実施し場合によっては大腸カメラで粘膜を観察することもあります。
8.偽膜性腸炎
腸内に増殖した菌が排出した毒素によって腸管粘膜が傷ついて生じるのが偽膜です。抗生物質を長期にわたって服用することが主な原因とされます。高熱や下痢のほか、便に粘膜や血液が混ざります。