大腸カメラで分かる大腸の病気
大腸がん 大腸ポリープ 大腸憩室症 大腸憩室出血 大腸憩室炎 潰瘍性大腸炎 クローン病 過敏性腸症候群 虚血性腸炎 急性虫垂炎
大腸がん
大腸がんは日本人のがん罹患数において第1位となっており、 死亡数では胃がんを抜いて第2位となりました。現在も年間5万人以上が大腸がんにより死亡していると推定されます。 大腸がんの早期発見による5年生存率は大変高くなっています。ところが、発見が遅れたためにリンパ節に転移してしまった場合、 5年生存率は70%台となり、さらに他の臓器に転移してしまったときの5年生存率は、 20%に達しません。このことからも、早期発見 ・早期治療がいかに重要であるかが理解できます。ほとんどの大腸がんは大腸ポリープから発生します。そのため、大腸カメラ検査時に前がん病変の大腸ポリープを発見した際に、その場で切除することは将来の大腸がん予防につながります。早期の大腸がんや大腸ポリープには自覚症状を起こすことがほとんどないため、確実に発見するためには大腸内視鏡検査が不可欠です。 一般的な大腸がん検診では便潜血検査が行われていますが、この検査で早期大腸がんや大腸ポリープが発見されることはまれにしかなく、逆に進行した大腸がんを見落としてしまうこともあり、確実性に乏しい検査です。我々は便潜血検査が陰性でも大腸がんリスクが上昇しはじめる40歳を超えたら、大腸カメラ検査をおすすめしています。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸粘膜にできる「いぼ」のような隆起性病変のことを言い、いくつかの種類に分けられます。そのうち「腺腫」は大腸がんを発生させる可能性のあるポリープです。そのため腺腫を早期に切除することは将来の大腸がん予防になります。当 クリニックでは大腸カメラ検査時に発見したポリープをその場で切除する日帰り手術を行っています。また、 10mm以上の大きなポリープでも多くの病変は1泊入院での内視鏡切除が可能です。検査と治療予防が1度にできてしまうため、 患者様にとって非常にメリットが高いと考えています。
大腸憩室症
憩室とは、消化管の壁の一部が外側に押し出されて、風船・ポケット状に膨らみ、飛び出た事を言います。大腸にできる事が一番多く、大腸憩室症と呼ばれる病気の原因となる事があります。大腸憩室はほとんど後天性で起こりますが、近年高齢化や食生活の欧米化により増加傾向にあります。食物繊維の摂取不足が起こると、便秘が起こりやすくなり、大腸の内圧が上昇し、大腸の壁が膨らみ憩室ができます。70歳以上では約50%に大腸憩室があると言われています。憩室の多くは無症状で経過しますが、時に憩室炎や憩室出血が起こります。
大腸憩室出血
前触れのない大量の血便として症状が現れます。基本的には腹痛は伴いません。憩室症の底にある小動脈の破綻による出血だと考えられています。憩室出血は血便の原因として頻度の高い疾患なのですが、 診断と治療は困難です。大腸内に沢山ある憩室のうち、一つの憩室が出血源(責任憩室)となります。この責任憩室からの出血は蛇口から出る水道水のように、出血と止血を繰り返すことが知られています。よって、緊急で大腸内視鏡検査を行っても観察時には責任憩室は既に出血が止まっていることが多く、 その他の憩室と見た目は変わりません。よって同定が難しいのです。ところがその後、蛇口が再び開き大量の血便を繰り返します。内視鏡的止血が適切であれば困難であっても多くの症例は自然止血されます。稀に、大量出血を起していても内視鏡では止血できないケースがあります。そのような例ではカテーテル治療(動脈塞栓術)や外科的切除(大腸ごと切除する手術)を行うこともあります。
大腸憩室炎
大腸憩室の内部で細菌が繁殖し炎症をきたすことで起こります。主な症状は、腹痛と発熱です。治療は重症度や病態によって異なります。軽症の憩室炎は、抗生剤を投与しながら通院で治療をします。中等症から重症の憩室炎は、絶食とし入院で治療を行います。繰り返す場合や、抗菌薬治療に反応が乏しいもの、あるいは繰り返す炎症により大腸狭窄(管腔が狭くなること)を来した際には外科的切除(手術)を行うこともあります。
潰瘍性大腸炎
原因不明の大腸に慢性的な炎症をきたす病気です。大腸にびらんや潰瘍や出血といった所見を認め、下痢 、血便、腹痛 、発熱 などの症状が見られます。厚生労働省が難病指定している病気のひとつです。比較的若い人が発症し、30歳代にピークがありますが 、 最近は高齢になってから発症するケースにも増加してきています。よってどの年代でも潰瘍性大腸炎を発症し得るのです。男女差はありません。1990年には約2万人だった患者数は増え続け、2021年現在では約22万人が罹患されていると言われ、 今後も増加が予想されています。潰瘍性大腸炎は今のところ完治しない病気ですが、適切な治療が行われれば多くの患者様が「寛解(かんかい)」状態 、 つまり症状が抑えられた状態に回復します。最近では治療効果の高い新たな治療法も開発されており、多くの患者様が寛解状態を維持されており、 健康な方と同じような生活を送ることができます。ただし、適切な維持治療が行われないと、再び「再燃」という症状が悪化した状態に戻ることがしばしばあります「寛解」と「再燃」を繰り返し、 大腸の炎症が 長期にわたり持続するのが潰瘍性大腸炎の特徴なのです。また、発病から7〜8年が経過すると、大腸癌の発生のリスクが出てくることが知られています。よって、潰瘍性大腸炎の患者様は定期的な消化器内科でフォローしていくことが必須となります。いかに「寛解」状態を持続させるかが、 最も重要な治療のポイントです。当クリニックでは潰瘍性大腸炎の治療を積極的に行っていますのでぜひご相談ください。
クローン病
Crohn(クローン)病は潰瘍性大腸炎と同様に原因不明の炎症性腸疾患です。口から肛門までの全消化管が、ただれたり潰瘍をつくることにより症状を引き起こします。症状としては、腹痛と下痢が最も高頻度に見られ、 その他には発熱や体重減少や血便、 痔ろう、関節痛などです。本疾患も厚生労働省の特定疾患のひとつに指定されています。クローン病の発病は若い方に圧倒的に多いのが特徴です。男性では20歳代、女性では10歳代に発病のピークがあります。男性と女性の比は1:2と男性に多く見られます。1970年代には希少疾患とされていましたが、 2014年には患者数が4万人を超え、現在も増加傾向が続いています。診断はCT胃カメラ・大腸カメラ、あるいは消化管造影などを中心に行っていきます。特に内視鏡検査での特徴的な所見や生検病理で診断確定に至ることが多いです。クローン病も潰瘍性大腸炎と同様に完治しない病気ですが、適切な治療が行われれば多くの患者様が「寛解(かんかい)」状態、つまり症状が抑えられた状態に回復します。しかしクローン病は寛解期にも病状が進行していることがあるため、注意が必要です。治療の基本は炎症を抑える薬物療法で、 最近は多くの新しい治療薬が開発されています。症状が治まってきたら良い状態を維持するための薬物療法を行います。また、 食事はクローン病の症状に影響することがありますので、 ご自分に合った食事を見極めることが重要です。更に、クローン病では消化管の広範囲に炎症を生じることがあるため、食物を消化して必要な栄養素を吸収できなくなることがあり、そうした際には栄養療法が必要です。進行して腸閉塞や穿孔、膿瘍などが起こった場合には、 外科的手術が必要です。当クリニックではクローン病の診療を積極的にしていますので、ぜひご相談ください。
過敏性腸症候群
Crohn(クローン)病は潰瘍性大腸炎と同様に原因不明の炎症性腸疾患です。口から肛門までの全消化管が、ただれたり潰瘍をつくることにより症状を引き起こします。症状としては、腹痛と下痢が最も高頻度に見られ、 その他には発熱や体重減少や血便、 痔ろう、関節痛などです。本疾患も厚生労働省の特定疾患のひとつに指定されています。クローン病の発病は若い方に圧倒的に多いのが特徴です。男性では20歳代、女性では10歳代に発病のピークがあります。男性と女性の比は1:2と男性に多く見られます。1970年代には希少疾患とされていましたが、 2014年には患者数が4万人を超え、現在も増加傾向が続いています。診断はCT胃カメラ・大腸カメラ、あるいは消化管造影などを中心に行っていきます。特に内視鏡検査での特徴的な所見や生検病理で診断確定に至ることが多いです。クローン病も潰瘍性大腸炎と同様に完治しない病気ですが、適切な治療が行われれば多くの患者様が「寛解(かんかい)」状態、つまり症状が抑えられた状態に回復します。しかしクローン病は寛解期にも病状が進行していることがあるため、注意が必要です。治療の基本は炎症を抑える薬物療法で、 最近は多くの新しい治療薬が開発されています。症状が治まってきたら良い状態を維持するための薬物療法を行います。また、 食事はクローン病の症状に影響することがありますので、 ご自分に合った食事を見極めることが重要です。更に、クローン病では消化管の広範囲に炎症を生じることがあるため、食物を消化して必要な栄養素を吸収できなくなることがあり、そうした際には栄養療法が必要です。進行して腸閉塞や穿孔、膿瘍などが起こった場合には、 外科的手術が必要です。当クリニックではクローン病の診療を積極的にしていますので、ぜひご相談ください。
虚血性腸炎
虚血性腸炎とは、大腸の粘膜の中の血管に十分な血液が通らなくなることで生じる病気です。高齢者や、高血圧、糖尿病、腎臓病、動脈硬化、脳血管障害、心不全などの病気にかかっている方が発症しやすいとされています。突然の強い下腹部痛と下痢で発症し、そののちに血便が続くのが特徴的です。下行結腸(大腸の左側)の血管が狭窄することが多いため、下行結腸からS状結腸に炎症を来すことが多いとされます。治療は重症度によって異なります。軽症では消化に良い食事と安静で外来治療を行います。痛みが強い場合、あるいは広範囲の大腸に強い炎症がある場合は入院治療となり、 絶食と点滴で腸管の安静を保つことによりその多くが1週間以内に快方に向かいます。
急性虫垂炎
虫垂炎とは、異物や糞石などが原因で、虫垂内の閉塞が起こり、二次的に細菌感染を起こすことで右の下腹部が激しく痛む疾患です。昔から俗に「盲腸」と呼ばれていますね。虫垂に穴があいた場合は、穿孔性虫垂炎といいます。手術する時期を逃すと、腹膜炎などの重い合併症を起こす可能性があり、適切な診断と手術の判断が重要です。術は従来の開腹手術ではなく、傷が小さく回復の早い腹腔鏡手術が主流です。